日本を代表する白ワイン用ぶどう品種「甲州」。
そんな甲州ワインのラベルや商品名などに「シュール・リー」という言葉が書かれているのをよく見かけますが、この言葉の意味をご存知でしょうか?
結論から言うと、「シュール・リー」とはワインの製法のことで、シュール・リーと書かれた甲州ワインは、主にこの製法が用いられて造られたワインということを表しています。
今回はそんな「シュール・リー」について解説していきたいと思います。
シュール・リー製法とは?
シュール・リー(Sur Lie)とはフランス語で「澱(オリ)の上」という意味です。
澱とはワインの酵母などが結晶化して出来るカスのようなもので、液体の中にモヤモヤ見えたり、ボトルの底などに沈殿物が付着していたりすることがあります。

通常のワインの醸造過程では、発酵が終わったあと濾過して澱を取り除く作業(澱引き)を行いますが、この作業を意図的に遅らせ、澱とワインを長期間接触させておく製法を「シュール・リー製法」と言います。
このシュール・リー製法を行うことで、澱の持つ旨味がワインに溶け込み、味により複雑味や旨味を持たせることができるのが特徴と言われています。
また、シュール・リー製法は日本では甲州ワインの製法として主に知られていますが、フランス・ロワール地方ではミュスカデ品種で造られる白ワインの製法として古くから用いられています。
シャトー・メルシャンの浅井宇介さんによる功績
多くの日本ワイナリーで甲州ワインにシュール・リー製法が用いられるようになった背景には、映画にもなったノンフィクション小説「ウスケボーイズ」でも知られるシャトー・メルシャンの麻井宇介さんによる功績がありました。
当時麻井宇介さんは、メルシャンで独自に研究開発したシュール・リー製法を用いた甲州ワイン造りのノウハウを、勝沼とワイン業界全体の活性化のため、近隣のワイナリーに情報公開したそうです。
とても素晴らしいお話ですよね。
これにより日本の甲州ワイン造りの品質は大きく向上し、現在では数々のワイナリーが造る甲州ワインの評価が世界的に高まっていることが広く知られています。
参考記事:メルシャンが独自技術をライバルに教える理由 – ITmedia ビジネスオンライン
シュール・リー製法で造られたオススメの甲州ワイン
シャトー・メルシャン 山梨甲州
シュール・リー甲州の元祖!
白百合醸造 ロリアン勝沼甲州
漫画「神の雫」にも登場した、シュール・リー製法の甲州ワインです。

まとめ
以上、シュール・リーについての解説でした。
こういった知識や背景を知っていると、ただ漠然と飲むよりもワインの奥深さを感じられるかと思います。
シュール・リー製法が用いられた甲州と、用いられていない甲州でどう味が違うかなど飲み比べてみても面白いかもしれませんね。