ワイン好きのあなた。ワインの知識を深めていくうちにせっかくならご自身の知識を試してみたい!と思ったことはありませんか?
日本でワインに関する資格を取得するには「日本ソムリエ協会」、「全日本ソムリエ連盟」の団体で認定している資格試験を受ける必要があります。
でもどちらの団体も似たような名称で何が違うのかよくわかりませんよね?
今回はこの2団体が認定している資格試験を中心にご紹介します。
Contents
日本ソムリエ協会と全日本ソムリエ連盟の違いとは?

日本に限らず世界においても「〇〇ソムリエ」という呼称が多数出現してきています。
その背景を受けて国際機関である国際ぶどう・ぶどう酒機構(O.I.V)が各国の意見を集約し、「ソムリエ」の定義づけが行われました。
日本ソムリエ協会は、そのO.I.Vに加盟している国際ソムリエ協会に加盟しています。
一方、全日本ソムリエ連盟は国際ソムリエ協会には加盟しておらず、知名度においても日本ソムリエ協会ほどありません。
ここではそれぞれの団体の違いをご紹介していきたいと思います。
一般社団法人 日本ソムリエ協会(J.S.A.)とは?
まず、「一般社団法人 日本ソムリエ協会(J.S.A.)」からご紹介します。
こちらは日本人で初めて「世界最優秀ソムリエコンクール」で優勝した田崎真也さんが会長を務めている団体です。田崎さんの他にも名誉顧問には著名人が多く名を連ねています。
この日本ソムリエ協会で認定されている試験については、「J.S.A.ソムリエ / J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験」などがあります。
一般的に「ソムリエ」と言えば、日本ソムリエ協会が認定する「J.S.A.ソムリエ」を指すことが多いです。
「J.S.A.ソムリエ呼称資格認定試験」は飲食業などワインを取り扱う職業での3年以上の実務経験があったり、試験日の時点でもその職業に従事していることが必要だったりと、受験資格のところから厳格な試験です。
また、三次試験まで通過する必要がある上、筆記試験以外にもテイスティングやサービスの実技試験など難易度の高い試験内容となっており、近年では合格率も20%〜30%程とされています。
ソムリエの皆さんが胸にブドウのバッジをつけ、堂々としている姿の裏側には、そういった厳しい試験を潜り抜けてきたという自負があるのかもしれませんね。
一方、「J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験」ですが、こちらは職業や業務経験を問わず、ソムリエ試験の受験資格を満たしていない人や愛好家などが主な対象となります。
ワインエキスパートはそういった愛好家向けの資格ではありますが、試験内容については「ソムリエ」の試験と中身や難易度もほとんど変わりません。
こちらも毎年、30%台の合格率となっています。
そのため、「ソムリエと同等以上の見識を持っている」という公的な証明になり、ワイン通の仲間内や業界などでは一目置かれるなど、かなりのステータスになる資格と言って良いでしょう。

ここまで聞いて「自分には難しそう…」とここで諦めてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、そんなあなたにオススメの検定があります。
それがJ.S.A.ワイン検定です。
J.S.A.ワイン検定は、ワインライフを楽しみたい方や、ワインに興味がある方のための入門的な位置付けで、20歳以上の方ならどなたでも受検できます。
検定にはブロンズクラスとシルバークラスの2クラスありますが、シルバークラスはブロンズクラスに合格した方のみが検定を受けることができます。
全日本ソムリエ連盟(ANSA)とは?
次に全日本ソムリエ連盟(ANSA)ですが、こちらは「ワインコーディネーター/ソムリエ」の資格認定試験とワイン検定があります。
こちらの「ワインコーディネーター」と「ソムリエ」は名称の違いでしかなく、申し込み時に、どちらの呼称で取得するかを選択することができます。
日本ソムリエ協会のソムリエ試験は受験資格が厳しいのに対し、全日本ソムリエ連盟のソムリエ試験は20歳以上であればどなたでも受験資格があるため、比較的取得しやすい資格試験となっております。
と言っても当然簡単な試験ではありません。
全日本ソムリエ連盟の「ソムリエ」資格取得は、基本的講習の受講から始まり、「ソムリエ」としての必要な知識や技術を身につけ、資格を取得していくのが特徴です。
取得までには、下記の3種類のコースを選択することができます。
- 通信プログラム
- 在宅コース
- 2日間集中コース
ソムリエになるにあたって必要な教育を受けたうえで、試験に挑戦し、資格取得となるのでその分取得にかかる費用が高額となります。
受講・受験費用のほかにも認定費、入会費、年会費などがかかります。

また、全日本ソムリエ連盟のワイン検定についてですが、こちらも日本ソムリエ協会の「J.S.A.ワイン検定」同様、ワインの魅力を知ること、ワインをより楽しむことを目的に実施されています。
どちらの団体の試験がオススメ?

知名度で言えば日本ソムリエ協会が認定する資格試験のほうが広く知られていますが、受験資格や金銭面などでご自身の環境に合った資格試験を選択されるのが良いと思います。
例えば全日本ソムリエ連盟のワインコーディネーター/ソムリエ試験は、日本ソムリエ協会のJ.S.A.ソムリエ試験に比べて知名度は高くないものの、受験資格を満たさない若者など新規参入を目指す方にとっては魅力的な試験なのではないでしょうか。
J.S.A.ワイン検定とは?
日本ソムリエ協会のワイン検定はワインライフを楽しみたい方や、ワインに興味がある方のための入門的な位置付けとなっています。
検定はブロンズクラスとシルバークラスの2クラスあり、ブロンズクラスは、入門編として、家庭でワインを楽しむための知識の習得を目的としています。
シルバークラスはブロンズクラス認定者を対象に、レストランでソムリエに相談したり、ワインショップでワインアドバイザーからアドバイスをもらいながら、好みのワインを選んでいくための知識を習得します。
試験概要
ブロンズクラス、シルバークラスとも試験当日に開催される講習会は、受講が必須です。
講習会では最重要項目を伝えられ、ここでの内容が試験に直結しますのでしっかり覚えておく必要があります。一度で覚えられない方は、事前にテキストで予習しておきましょう。
ブロンズコース
受験資格 | 検定日において20歳以上の方 |
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受検料 | 11,000円(テキスト代、認定料含む) |
難易度 | 検定の前に行なわれる90分間の講習をしっかりと受けて試験に臨めば、ほとんどの方が合格できるレベルだといわれています。 ※ワインのテイスティング試験はありません。 |
- 2019年4月6日(土)・7日(日)
申し込み受付: 2月7日(木)〜3月7日(木) - 2019年6月26日(水)・27日(木)
申し込み受付: 5月1日(水)〜5月30日(木)
シルバークラス
受験資格 | ブロンズクラス認定者 |
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受検料 | 15,000円(テキスト代、認定料含む) |
難易度 | シルバークラスは当然ながらブロンズクラスよりも難易度が高くなっています。 テキストをしっかりと勉強しておかないと、合格することが難しいレベルになっています。 ただし、シルバークラスは当日の講習とは別に事前講習が開かれ、分からなかった点などを講習の講師を務めるワインエキスパートの有資格者に質問することで、合格率を上げることができるでしょう。 一般的な試験対策として過去問がありますが、このワイン検定については過去問はありませんので、テキストの内容をしっかりと把握していくことが検定に合格する確率を高めると言えるでしょう。 ※ワインのテイスティング試験はありません。 |
- 2019年11月23日(土)・24日(日)
申し込み受付: 9月27日(金)〜10月27日(日)
資格を取るとどんなメリットがある?
日本ソムリエ協会のワイン検定は、ブロンズクラス、シルバークラスと順を追って受検していけばよいステップアップとなり、J.S.Aワインエキスパートなどの資格取得へ向けてのよい足がかりとなます。
ブロンズクラス合格のメリット
まず、最初に受検できるブロンズクラスですが、合格すると認定カードと認定バッジを受け取ることができます。また、シルバークラスを受検する資格を得ることができます。
試験内容は、ワインの分類や歴史、ぶどうの種類、栽培の条件、ワインができるまでの工程、ワインの選び方やテイスティングのやり方、ワインと料理の相性など、広範囲に渡ります。
合格すればワイン入門書を読む前に、知識の土台づくりとしても役立つ内容を得られることでしょう。
シルバークラス合格のメリット
シルバークラスもブロンズクラスと同様に、合格すると認定カードと認定バッジを受け取ることができます。さらにシルバークラスの呼称が記載された名刺が授与されます。
シルバークラスの試験前の講習会では、ソムリエやワインショップの店員とスムーズにコミュニケーションがとれる知識を学べるため、自分好みのワインを選びやすくなります。
全日本ソムリエ連盟のワイン検定とは?
全日本ソムリエ連盟のワイン検定は、ワインの魅力を消費者のみなさまに知って頂く機会を広く提供し、消費者がワインをもっと楽しんでいただくことを目的にしており、1〜3級まであります。
試験概要
受験資格 | 1)20歳以上であれば、職業、学歴、性別を問わず、どなたでも受験できます。 2)1級は2級合格者のみ受験可能です。2級は3級合格者のみ受験可能です。 |
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試験内容 | マークシート方式 ※ワインのテイスティング試験はありません。 |
受検料 | 1級:4,700(税込) 2級:4,200(税込) 3級:3,650(税込) |
合格基準 | 1級:全問題の85%以上 2級:全問題の75%以上 3級:全問題の70%以上 |
- 2019年9月8日(日)11:00〜11:50(受付 10:30)/13:00〜13:50(受付 12:30)
申し込み締め切り:8/30(金)12:00
資格を取るとどんなメリットがある?
全日本ワイン連盟のワイン検定においても、合格者には認定証書(カード型)が発行されます。
ワインについての基礎知識を土台固めすることができ、3級、2級、1級とステップアップしていくことが可能です。お気に入りのレストランでソムリエやワインアドバイザーからアドバイスをもらいながら、自分好みのワインを選んで楽しむことができるでしょう。
日本ワイン検定とは?
ちなみにですがJ.S.Aや全日本ソムリエ連盟のワイン検定の他に、「一般社団法人日本ワイン協会 日本ワインを愛する会」が主催する「日本ワイン検定」という日本ワインに特化したワイン検定があることをご存知でしょうか。
一般社団法人日本ワイン協会 日本ワインを愛する会とは?
ワインといえば、イタリア、フランス、スペインが3大生産地となっていますが、ここ10年で日本のワインも大きな変化を遂げています。2016年にはイギリスで開かれた世界最大規模のコンクールで、山梨県にあるワイナリーがプラチナ賞を受賞しています。
しかし、日本ワインが変わったといってもまだまだ認知度は低いのが現状です。日本ワインのさらなる発展のためには、ワイン愛好家に日本ワインの変化を認知してもらい、それによって造り手が刺激を受け奮起し、さらにより良いワイン造りに取り組もうという意欲をおこさせることが必要です。
こうした観点から、ワイン生産者の方々とワイン愛好家を結びつけ、日本ワインの更なる普及発展を図るため有志によって発足されたのが「一般社団法人日本ワイン協会 日本ワインを愛する会」です。
試験概要
受験資格 | 1、2級:2次試験当日に満20歳以上であること 1級:2級に合格していること |
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試験内容 | 3級:ワイン全般および日本ワインの基礎知識を問う問題が出題されます。 2級:ワイン全般および日本ワインの基礎知識と一部やや専門的な問題が出題されます。 1級:日本ワインについて、高度な専門知識を含む問題が出題されます。 |
試験形式 | 1次試験:コンピューターでの出題(60分) 2次試験:テイスティング(30分) |
受検料 | 3級:6,000円 2級:10,000円 1級:12,000円(税込) |
合格基準 | 1級、2級:1次試験は70%以上の正答で合格 3級:1次試験の70%以上の正答で合格 |
資格を取るとどんなメリットがある?
3級、2級で日本ワインについての正しい知識を身に付け、さらに1級に合格すると日本ワインマスターに認定・登録されます。
日本ワインマスターは、日本ワインを啓蒙・普及する役割を担います。
まとめ

ビジネスの分野の検定であるエクセル、ワードなどにおいてもいえることですが、ワイン検定においても認定カードや認定証を持っていることで「ワインの知識がある」という客観的な証明になります。ワイン仲間から一目置かれたり、この検定によって得られた知識は、ワイン選びの際にきっと役立つことでしょう。
ワインの味は、その年のぶどうの出来不出来によって左右され、ひとつとして同じものはありません。常に知識や選び方を更新していかなければいけませんが、ワインを楽しみつつ、資格を活用できるような仕事やイベントに参加してみるのも良いですね。
