「ワインは渋いから苦手……」なんてあなたにオススメしたいのが、デザートワインと呼ばれる甘口ワイン。
飲みやすい味わいで、気軽にリッチな気分に浸れる甘口ワインは、女性やワイン初心者にもオススメなんです。
今回は、渋いワインが苦手な方でも飲みやすい甘口ワインについてご紹介いたします。
これを読めば、あなたにぴったりの甘口ワインが見つかること間違いなし!
詳しい甘口ワインの種類や美味しい飲み方、よく合う料理も一緒にご紹介します。
Contents
甘口ワインの種類とは?

甘口ワインとは、ブドウの糖分がたくさん残っているワインのことです。
ワインは酵母がブドウの糖分を食べることで発酵します。
通常のワインは、酵母が糖分をすべて食べつくしたところで発酵が止まり、辛口のワインとなりますが、糖分を残したまま発酵を止めれば、アルコール度数がやや低めな甘口ワインになります。
酵母に糖分を食べつくさせないよう、途中で発酵を止めたものが、甘口ワインとなるわけですね。
単純に「砂糖などを加えて甘くすればよいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ワインは味のバランスが大事です。
ただ砂糖を加えただけでは、甘ったるいだけの液体になってしまいます。
さらに、酵母がワインに残っている場合に砂糖を加えると再発酵が始まり、ガスが発生。その結果、ビンが破裂することもあります。
適当に砂糖を加えるだけでは、美味しいワインはできないんですね。
甘口ワインの造り方は、アルコール度数を意図的に高くして発酵を途中で止めたり、ブドウを干す・氷結させる・菌をつけるなど、様々な工夫によりブドウそのものの糖度をあげたりなど製法は様々あります。
今回はその中から「酒精強化ワイン」と「貴腐ワイン」についてピックアップしてご紹介していきます。
酒精強化ワイン
酒精強化ワインとは、ブランデーなどのアルコールを加えて作られたワインのことです。
フォーティファイドワインとも呼ばれ、赤ワイン、白ワインともに造られています。
これらの呼び方を知らずとも、シェリーやポートワインはご存じの方の多いのでは?
シェリーやポートワイン、マデイラワインは3大酒精強化ワインと呼ばれ、歴史あるワインとして人気が高いんです。
この三つにマルサラワインを加え、4大酒精強化ワインと呼ぶこともあります。
酒精強化ワインはお酒を加えて作るので、普通のワインと比べ、アルコールが高いのが特徴です。
普通のワインが14度程度なのに対し、酒精強化ワインのアルコール度数は18度前後と高め。
気温が高い地方では、ワインが酸化や腐敗してしまうことも多かったので、アルコール度数を高めることで保存性を高めたのが始まりとされています。
アルコールを添加するタイミングによって、味わいがガラっと変わるのも特徴。
アルコール分が一定量を超えると酵母の働きが止まり、アルコール発酵も止まります。
そのため、糖分が多く残っている発酵前、発酵途中で加えれば甘口に、糖分がほとんど残っていない発酵後に加えると辛口になります。
甘さのコントロールが容易となるので、甘口から辛口まで、さまざまな味わいのワインが造られています。
シェリー酒で甘口を探すなら、ビノ・ドゥルセ・ナトゥラルがおすすめ。
甘みが強いペドロヒメネス種、またはモスカテル種を原料としたものをビノ・ドゥルセ・ナトゥラルと呼びます。
日本ではフィノなどの辛口がほとんどですが、ミディアム、クリーム、ペイル・クリームなどの甘口も、最近は増えてきています。
濃い色味と濃厚な甘みを楽しめる甘口のシェリー酒は、食後のデザートにもぴったりです。
マデイラワインは甘さの種類が4段階あり、そのうちメイオ・ドセとドセがそれぞれ中甘口と甘口に相当します。
マデイラワインはドライフルーツのような複雑な香りとカラメルのような甘味を持ち、シェリー酒に比べてフルーツのような酸味があります。
チョコレートなどのスイーツとあわせても、おいしくいただけるワインです。
ポートワインは甘口が基本なので、甘口酒精強化ワインで迷ったら、最初はポートワインを選べば間違いありません。
とくに赤は「ポルトガルの宝石」と称されるほど美しく、贈り物にもおすすめ。
食前酒なら白が、デザート代わりに飲むなら赤がおすすめです。
貴腐ワイン
貴腐ワインとは、特殊な菌がついた白ワイン用の品種のブドウを使ったワインのことです。
その菌とは、ボトリティス・シネレアというかび菌です。通常であれば灰色かび病の原因となる厄介な菌の一種です。茎や葉、花などが灰色のかびに覆われる灰色かび病はブドウの被害も大きい病気で、毎年多くのブドウ農家さんの悩みの種にもなります。

(出典:Wikipedia)
しかし、白ワイン用の品種に感染したときには、良い効果をもたらすことがあります。
感染した菌は皮のワックスを溶かしてしまうので、果実の水分が蒸発してします。
水分が蒸発することで、糖度がぎゅっと濃縮されるのです。
見た目はレーズンのようにしわしわになってしまいますが、中の果汁ははちみつのようなとろりとした飴色になり、貴腐香と呼ばれる独特の香りを放ちます。
一歩間違えば灰色かび病になってしまうため、貴腐ワインに使うブドウは細心の注意を払って育てられています。
また、水分が蒸発してしまっているため、絞ることのできる果汁はごくわずか。
とても貴重なワインなんですね。
「ワインの帝王」「帝王のワイン」などと呼ばれる貴腐ワイン。
あのルイ14世が「ワインの王にして王のワイン」と絶賛したことで知られ、マリア・テレジアは貴腐ワインのあまりの輝きに、金が含まれているのではないかと分析させたという逸話も残っています。
フランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイワインが世界三大貴腐ワインとして有名です。
日本ではサントリーが1975年に生産に成功。それ以来、長野県や山梨県、北海道など、さまざまな場所で造られています。
山梨でしか作られていない?あじろん(アジロンダック)ワインとは
アジロンダック(通称「あじろん」)とは、現在日本では山梨県甲州市勝沼でのみ生産されている黒ブドウ品種です。
ヴィティス・ラブルスカ種特有の甘い香りを持ち、スッキリとした甘口〜やや辛口のワインによく使われます。
昔から山梨で造られていましたが、手間がかかることから、今や幻の品種と呼ばれるほど生産数が落ちてしまいました。
熟したものは房からの実離れしやすいので、一つ一つ丁寧に手で収穫しなければなりません。
病気には強いのですが、香りが強いせいで虫や鳥に食べられてしまうことも多いため、現在栽培している農家は山梨県の中でもかなり少数。
そんなアジロンダックですが、イチゴを思わせるキュートな味わいとフレッシュな果実味は、和食にもよく合うと好評です。
とくに甘口のものは渋みも少なく飲みやすいので、ワイン初心者にもおすすめ。
ファンも多いおいしさです。
お店で見つけたら迷わずゲットですよ!
甘口ワインに合う料理は?

甘口のワインには料理は合わない、そう思っている方も多いのでは?
実は甘口のワインは、パンチのあるスパイシーな料理とよく合うんです!
カレーなど、ちょっぴり辛い料理との相性も抜群。白ワインから赤ワインまでよくあいます。
甘口の白ワインやロゼには、クリームやチーズを使った料理も良いですね。
元よりチーズとワインの相性は抜群ですから、グラタンやシチューなど、乳製品をふんだんに使った料理とあわないはずがありません!
甘口の赤ワインには、和食もよく合います。
すき焼きや照り焼きなど、醤油や味噌を使った料理と合わせるのがおすすめ。
国産の甘口白ワインには、お刺身や鍋ともよく合います。
シェリーは前菜と一緒に飲むのが一般的。フォアグラの他、生の果物やチーズと出てくることが多いです。
ポートワインは、白はシェリーと同じように軽い前菜と。赤はチョコレートやドライフルーツと合わせて食後にいただくのが一般的です。また、どちらもナッツがよく合います。
マデイラワインは前菜からデザートまで、どんなものとも合わせることができます。また、ジビエを使った料理とのマリアージュも最高です。
貴腐ワインは、フォアグラと合わせるのが一般的なマリアージュです。フォアグラの濃厚な味わいが、貴腐ワインとベストマッチ。
また、はちみつを思わせる濃厚な甘みを持つ貴腐ワインには、はちみつとあうフルーツやチーズと合わせると簡単においしくいただけます。
特にはちみつをかけたブルーチーズとの相性は抜群。
ソースのように、アイスクリームにかけて楽しむのもおすすめです。
甘口ワインを飲むタイミングとは?
もちろん好きな時に飲むのが一番ですが、定番のタイミングがあるワインもあります。
どの甘口ワインにせよ、軽く冷やして飲むのがおいしくいただけます。
よく冷やせば軽く飲みやすく、冷やせばゆっくり楽しめます。場面によって使い分けましょう。
糖度が高い甘口ワインは、適切な場所に置けばかなり長持ちするのもうれしいところ。
余った甘口ワインは、ナイトキャップとして毎晩少しずつ飲むのもお洒落です。
食前酒として
フランスには食前酒という意味の「アペリティフ」という言葉があります。ワインが使われることが多いのですが、その中でもシェリー酒は定番!
甘口の軽い白ワインやロゼを選ぶと良いでしょう。
他にも、白のポートワインは食前酒として、軽い前菜とともに出されることが多いです。
おつまみには、チーズやフルーツを使ったものがおすすめ。
特にクリームチーズやモッツアレラチーズなど、癖のないチーズなら、どんなワインとも合わせることができるでしょう。
生ハムや魚介類を使ったサラダなどにもフルーツを使うと、見た目も鮮やかで甘口ワインによく合います。
食後のデザートに
フランスのレストランに行くと、極甘口のワインが良く出てきます。
これはフランス料理に砂糖を使わないので、代わりにデザートにしっかり甘いものを出す習慣があるためです。
貴腐ワインや甘口の白ワインは、チーズケーキやアイスクリームと合わせるのが定番です。
一緒に食べても、ソースのようにかけて楽しんでも、美味しくいただけます。
フルーツを使う場合には、はちみつを少しかけると、より一層ワインと合いますよ。

甘口の赤ワインは、チョコレートと合わせるのがおすすめ。濃厚な赤ワインは、濃厚なチョコレートとも喧嘩しないので、マリアージュを楽しむことができます。
赤のポートワインも、食後酒としてチョコレートやナッツと共によく出されます。
オススメの甘口ワインは?
海外の甘口ワイン
モスカテル マガリョネラ
モスカテルを使った甘口のシェリーです。
まず特徴的なのは、レモンティーのような甘い酸味を伴った香り。
飲んでみれば、桃やメロンを思わせるまったりした甘さと、爽やかなスパイシーな風味があいまって、ただ甘いだけじゃない旨みを見せつけてくれます。
他では味わえない、唯一無二の味わい。
ワイン初心者にはもちろん、上級者も楽しめる逸品です。
プティ・ギロー[2015]
世界最高峰の貴腐ワインを作っているシャトー、ギローが作る貴腐ワイン(白・極甘口)です。
その味わいが安価で楽しめるこのプティ・ギローは、原材料はファーストに劣るものの、製法は全く同じです。
はちみつのようなとろりとした濃厚な甘さと、パイナップルやあんずを思わせるトロピカルフルーツの酸味。濃厚な甘みがありながらもすっきりしていて、まったくくどくありません。
フルーツタルトやチーズケーキと合わせるのがおすすめ。
日本の甘口ワイン
くらむぼんワイン アジロンダック
山梨県でしか作っていないアジロンダック(あじろん)をふんだんに使った造られた、やや甘口のワインです。
表記は「やや甘口」ですが、香りもあいまってかなり甘め。
赤いベリーの甘い香りと、山ブドウのような甘酸っぱさがとってもキュート。まるでブドウジュースのよう。すいすい飲めてしまいます。
食後にデザート代わりに飲むのがおすすめです。
グレイスワイン 周五郎のヴァン
山本周五郎氏が生前に絶賛し、愛飲された甘口の酒精強化ワイン。
樽熟成による、干しイチヂク、レーズン、ドライフラワー、ビターチョコレートなどを思わせる複雑な香りと、まろやかで深い味わいが特徴。
ブルーチーズなどコクのあるチーズや、フルーツ、アイスクリーム、ケーキなどと共に食後のデザートワインとして飲むのがオススメです。

まとめ
以上、甘口ワインについてのご紹介でした。
ワインが苦手だったという方も、種類や飲み方を知ることで、興味がわいてきたのではないでしょうか?
今回紹介した甘口ワインは、どれも飲みやすいものばかりです。
ぜひ勇気を出して、新しい世界を開いてみてください。
