日本固有のブドウ品種として知られる「甲州ブドウ」。1000年以上の歴史を持ち、日本ワインを代表するブドウ品種として知られています。
また日本ワインは世界でも注目を集めており、国際ワインコンテスト「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード」では「キュヴェ三澤 明野甲州」が金賞を受賞するほどレベルが高いです。
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甲州の特徴とは?

甲州ブドウは「甲州種」として日本ワイン界を牽引する品種です。ほとんどが山梨県で栽培され、日本有数のワインの産地として知られています。雨量が少なく日照時間が長いことから、ブドウの栽培に適しており、現在では60社以上のワイナリーがしのぎを削っています。
甲州種は白ブドウに分類されますが、果皮は紫がかったピンク色です。病気に強く、湿気が多い日本でも栽培がしやすい品種になります。原産地はヨーロッパと言われていますが、DNA鑑定ではヨーロッパと中国のブドウが交雑した可能性あるそうです。
甲州ブドウから作られるワインはほろ苦さがあり、ミネラルを感じることができます。程よい甘みと柑橘系の香りがあり、酸味も少なくすっきりとした味わいが特徴です。
柔らかな酸味がある甲州ブドウは、主に「シュール・リー」という製法でワイン醸造を行い、すっきりとした辛口ワインに仕上がります。甘口から辛口までありますが、基本的にまろやかで優しい味わいで、和食とマッチングしやすいのが特徴です。
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甲州の歴史

日本で甲州が発見された説は2つあります。
最も有力とされているのが、1186年に上岩崎の雨宮勘解由(あめみやかげゆ)が発見した説です。石尊祭りに参加をするため山道を歩いていた時に、ブドウの苗木らしきものを発見、それを持ち帰り城正寺に植えると、5年後にブドウの果実が実ったというもの。
もうひとつは718年、高僧行基が修行中に夢で枕元にブドウを持った薬師如来が現れた説。普通は薬の小壺を持っているのですが、その夢ではブドウを持っていたそうです。この出来事をきっかけにブドウの栽培を始め、この時のブドウ品種が甲州だと言われています。
日本で本格的にワイン造りが始まったのは明治時代。昔の日本では「ブドウは食べるもの」とされ、ほとんどが生食用として栽培をされていました。その後、ヨーロッパから醸造技術が伝わり、生食に向かない甲州ブドウを利用したワイン造りが山梨県庁主導で始まったのです。
戦後はメルローやカベルネ、シャルドネなどのフランス種も多く栽培されるようになり、日本ワイン業界は発展をしていきます。ただ特に山梨県では甲州ブドウへのこだわりが強く、現在でも高品質の甲州ワインを醸造し続けています。
2018年4月17日には、ジョージア国家ワイン局副局長ダヴィト・トケマラゼ氏とジョージアワイン協会会長ティナ・ケゼリ氏が甲州市を訪れ、甲州市長である田辺篤氏と面会をします。
実は2014年に甲州のDNAのルーツがジョージアにあることが判明していました。ジョージアからシルクロードを通って日本へ伝えられたとされる歴史をきっかけに、今回の面会が実現したのです。
面会では将来の醸造家の成長を目的とし、ジョージアと甲州市は提携を結ぶことになりました。
参考記事:在日ジョージア大使館
甲州の主な産地は?

甲州ブドウは85%以上を山梨県で栽培しています。他の地域でいうと山形県の庄内地方、大阪府の柏原、島根県が有名です。
特に栽培が盛んなのが、山梨県甲州市の旧勝沼町。勝沼エリアでは30を超えるワイナリーがひしめき合っており、日本屈指のワイン生産地でもあります。日本ワインを語る上で欠かせない地域です。
甲州ワインに合う料理は?

甲州ワインは柚子やカボスなどの和柑橘系の風味があり、和食との相性は抜群です。出汁を使った料理や天ぷら、焼き魚ともマリアージュします。
甲州ワインは鉄分の含有量が少ないと言われています。ワインの鉄分が少ない方が魚の生臭さを感じにくく、刺身などの生魚との相性も抜群。もちろんサラミやチーズなど、白ワインに合う定番のおつまみもおすすめです
おすすめの甲州ワインは?

甲州ワインを醸造するワイナリーは数多くあり、どのワインを選んでいいのか分からなくなりますよね。
ロリアン 勝沼甲州(白百合醸造)
勝沼産の甲州ブドウのみを使用した辛口の白ワインです。辛口ながらコクと旨味はしっかりと残し、和食との相性は抜群。漫画「美味しんぼ」や「神の雫」でも紹介され、一躍有名になったワインでもあります。
ボトルは1877年に栽培技術と醸造技術を学ぶためにフランスへ渡った、勝沼のニ青年を元にデザインされた「勝沼オリジナルボトル」を使用しています。
グレイス グリド甲州(中央葡萄酒)
山梨県の甲州種を使用した爽やかな甲州ワインです。洋梨や青リンゴを彷彿させる香りと、ナッツや白コショウを感じさせる奥深い香りが特徴。口に含むと爽やかな果実味と優しい酸味が鼻を抜けていきます。天ぷらや白身魚の塩焼きとの相性が抜群です。
甲州ドライ(シャトー酒折)
山梨県の3つの産地で収穫された甲州種を使用したワインです。甲府市玉諸地区の果実味、
韮崎市穂坂地区の爽やかな酸味、笛吹市一宮地区のミネラルをバランスよく調合し、味わい深い甲州ワインが仕上がります。
ドライでシャープな味わいが特徴で、どんな料理にも合わせやすいでしょう。
ジャパンプレミアム 甲州(サントリー)
日本最大手の酒造メーカーである、サントリーも甲州ワインを醸造しています。上質な国産甲州ブドウ100%で醸造される白ワインは、和柑橘の香りと柔らかな酸味が特徴です。
2015年の日本ワインコンクールでは「甲州辛口タイプ」部門で銀賞を受賞し、世界からも注目される甲州ワインとなりました。
甲州グリ・ド・グリ(シャトー・メルシャン)
りんごのコンポートを彷彿させる上品な香りと、アプリコットやカリンを感じさせる風味が特徴の辛口甲州ワインです。ほのかにタンニンの重みも感じることができ、口の中で立体感を構築してくれます。
みりんや砂糖、醤油で味付けされた料理や苦味が感じられる山菜料理と合わせてみてください。
グレイス 甲州(中央葡萄酒)
甲州ワインと言えばグレイス、と言われるほど有名なワインです。果実味を重視し、フレッシュで飲みやすいのが特徴。ジャパンワインチャレンジでは最優秀日本ワイン賞を受賞し、ジャンシス・ロビンソンも日本を代表するワインとして賞賛をしています。
甲州モンイストワール(グランポレール)
グランポレールの数量限定の甲州ワインです。ワイナリーで熟成させたオールドヴィンテージで、オレンジやレモンジャムを彷彿させる香りと深いコクが特徴です。数に限りがありますので、お求めの際はお早めにどうぞ。
ルバイヤート 甲州樽貯蔵(丸藤葡萄酒工業株式会社)
甲州ブドウを100%使用し、発酵から熟成まで樽で行うこだわりの甲州ワインです。濃いレモンイエローで、上品な香りと程よい果実味が絶妙にマッチしています。
ステンレスタンクが主流の今、樽で熟成させるほどのこだわりは高い評価を得ています。
まとめ
今回は日本固有のワイン用品種「甲州」についてお話してきました。山梨県と共に成長を続けてきた品種であり、これからも日本ワインを牽引してくれる存在であることは間違いありません。
ワインは飲むだけでなく、品種や産地を学ぶことでさらに美味しく頂けます。
