前回の記事では、『勝沼ワイナリーマーケット 新田商店』さんの店主であり、日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザーの資格を持つ新田正明さんに山梨ワインに特化したお店を開くことに決めた経緯などについてお聞きしました。
今回は、「日本ワイン」の将来性についてや、海外ワインと比べてどこが魅力なの?といったお話を引き続き新田さんに聞いていきたいと思います。
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日本ワインはこれからどうなっていく?
70~90年代の頃の日本のワイン造りは「目指せフランスとか、目指せイタリア」というスタンスだったんですが、今の若い造り手たちはそうじゃないんですよね。
若い世代がワイン造りを担うようになってから、今ちょうど10年くらいが経つのですが、チリワインとかカルフォルニアワインとも違う「日本らしいワイン」の姿が少し見えてきている気がしますね。
なので、これからも「日本ワインらしさ」とは何か?ってところを追求した、若い醸造家や栽培家がどんどん出てくると思いますし、注目しています。
日本らしいワインというと、甲州とかマスカット・ベリーAなどの日本固有の品種で作るワインを思い浮かべますが…。
他の国にはないですからね。
日本らしいワインを日本にしかない品種で表現していくことで、きっとこれからもっと世界中の多くの人をあっと言わせるようになると思います。
「こんなスタイルのワインもあるんだ!」って。

海外のワインと比べて日本ワインの魅力って何?
先程言ったようにフランスにはフランスのよさが、日本には日本のよさがあるという風に皆が思うようになってきたんですよ。
例えば、いま海外では和食ブームで、世界の大都市であるパリやロンドン、ニューヨークの日本食レストランなどでは、少し前までであれば日本酒や焼酎が主に飲まれていたのですが「日本でもワインを造っているなら、日本のワインを飲んでみようか」というようにだんだんと日本ワインも飲まれるようになってきたんです。
そうやって日本のワインが世界中の人に感動を与えているんですよね。
例えば、日本の夏の蒸し暑い時期に冷やした野菜と飲み合わせるなら、タンニンがガシガシで重ためのボルドーワインよりも、爽やかな酸味だったり心地よい苦みの山梨の甲州ワインのほうが合いますよね。
なのでこの質問の答えとしては、日本ワインの魅力というのは「ワイン」というカテゴリーで括られるものではなく、日本の食材と食べ合わせる「寄り添う飲み物」だというところにあると思いますね。
もう他の国のワインと比べてどうかっていうよりも、その国々で造られるワインがそれぞれ良いよねという「多様性」の時代になってきているんですね。
良いこと言いますね。
当時は「グローバル化グローバル化」って世界中で言われていて…
ネットも普及してくるし、移動手段も高速になるし、「地球はもう一つになるんだよ」って時代だったんです。
でもそんな時、「グローバルスタンダードっていうのは、個々の考え方や社会や宗教を認め合うこと。だから、あの宗教は違うとか、あの国のワインは違うって言うんじゃなくて、他の国や人と尊重し合うのが本当のグローバルスタンダードなんだ」って言っている人がいたんです。
この人すごいなぁ…と思ったことが、私が山梨に帰ってきたときに「山梨らしさを発信していこう」というお店のコンセプトを決めるきっかけにもなったんですよね。
「あそこはすごい!けど僕たちのすごさもある、そこを表現していこう!」っていう風な考え方でいくと、ワインの比較だけじゃなく、国と国との対立もなくなっていくかもしれませんね…。
ちょっと話が大きくなっちゃいましたね。(笑)

これって日本がちょっと異質なんですよね。
そんな風に海外の人と日本人とでは感覚が違うんですよね。日本人はどこか海外への憧れがあるというか…。
「熟成を30年した!この地域一番だ!」って胸を張って言ってるんだけど、それがもうダメになっちゃってるワインなんですよね(笑)
ああいう自分が造ったものに誇りを持っている感じ、すごい素敵だと思いますね。このおじいちゃん最高だなって。
日本ワインもそういう風になっていけばいいなって思いますね。
新田さんが注目する日本ワインの造り手とは?
また、「うちの畑は標高が高いから、こういう剪定方法で、このぐらいブドウを切り落として収量制限しないと…」と分かっている栽培家。
そういった人たちに注目してますし、応援したいなと思っていますね。

新田商店さんの店舗情報
店舗名 | 勝沼ワイナリーマーケット新田商店 |
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住所 | 山梨県甲州市勝沼町休息1560 |
Webサイト | http://www14.plala.or.jp/nittawine/info.htm |
編集後記
一昔前までは、日本のワインはお土産用のワインというイメージが強く、海外のワインと比較して低く見られがちでしたが、近年ではとても美味しくなったと評価が高まってきています。
新田さんが仰られた通り、海外のワインには海外のワインの良さがあるし、日本ワインには他の国のワインにはない日本ワインだけの魅力があると思います。
もはやワインという大きな括りで比較して語るのではなく、それぞれ「別の飲み物」として、それぞれの良さを認め合っていくことが大切ですね。
当メディアも、これからの日本ワインの在り方や進む道に注目し、そして今後も情報発信していきたいと思っております。
それではまた。
新田 正明(にった まさあき)さん
勝沼ワイナリーマーケット新田商店オーナー / (社)日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー / (財)全国穀物協会認定 お米アドバイザー / 甲州市産ワイン品質審査委員 / 甲州市産原産地呼称審査委員 / etc…